考えるヒント7 『エントロピーの増大』
今日は『エントロピーの増大』についてお話したいと思います。
人はなぜ、こうするべきということが解っていてもそれを行わないことが多いのか。
「今テレビを見ているよりも、本を読んだほうが為になる」
「ばかな連れよりも、教えをいただけるような人物と会ったほうが為になる」
「勉強しないより、したほうがいい」
「ぼーっとしているより、集中力を持って瞑想したほうが為になる」
「練習しないより、練習したほうがいい」
これらはすべて真であり、誰もがそうすべきだとは解っている。しかしそれを実際行っている人は稀である。何故一見とんでもない矛盾にみえるこのような状態に人々は甘んじるのか。
それは『エントロピーの増大』への流れがこの宇宙を支配しているからです。
エントロピーの増大とはエネルギーや物質が分散していくさまを時間を加えた尺度で現したもの。
つまりこの宇宙は誕生の瞬間から、エネルギーが一点に集まった状態から、宇宙中に分散しきってバラバラに冷え切った状態へ永遠に変化し続ける、それがこの宇宙のさだめ、宇宙の法則なのです。
具体的に説明すると、例えば太陽は50億年後にはエネルギーを使い果たし冷え切って崩壊し、分散して粉々の残骸が宇宙中を漂っている状態になります。
もっと身近なもので説明すると、100度の熱湯はエネルギーが分散し、そのうち周りの空気と同じ温度になるし、水を入れた容器に墨汁をぽとりと落とすと、墨汁は見る見る分散して水に溶け込んで薄い黒水になります。決してもとの真っ黒な墨汁にはもどりません。
このように時間が経つとともにエネルギー(物体)が分散していく流れがこの宇宙の根本的な法則なのです。(生命は一時的にこれに反した動きをしますが最終的にはこの流れになります)
この『エントロピーの増大』への流れは宇宙の法則でありますから、人間も基本的にはそれに支配されています。だからほっとけば人間は動かなくなって分散していき、やがて土や空気や水になってバラバラになります。それを出来るだけ遅らせるために、人々は衣食住を整えたり、ルールを整えたり努力をします。
『努力することが何故しんどいのか』
もう解ってきたと思いますが初めに挙げた行動は、前者がすべて『エントロピーの増大』に身を任せた状態であり、後者は『エントロピーの増大』に反する人間の生命活動のなせる技なのです。
解りやすく言うと『なまけている人』は宇宙に負けているのであり、『頑張っている人』は宇宙に打ち勝っているのです。
放っておいても勝手にエネルギーが集結してくれれば楽なのですが、この宇宙ではそうはいきません‥
『最も勇敢な者ですら、自分の知っていることを実行することは稀である』
by ニーチェ
あなたは自分のすべき事を知ったなら、宇宙の法則に背を向け、それを実行する勇気を持っていますか‥
考えるヒント 7 『エントロピーの増大』でした
そして私はもう一つの宇宙の法則を発見いたしました。
『精神』は『エントロピーの増大』の法則に反している。
ゆえに人間は『真善美』をひたすら追求するべきなのです。