考えるヒント17ー1 『70億頭のゾウ』

今日は『70億頭のゾウ』についてお話したいと思います。


『人は何のために生きているのか?』


この問いを真に考えながら生きている人は10人に1人もいません。皆、深くは考えずにただなんとなく、日々楽しく幸せに生きられればそれでいいという程度の発想で生きています。
そして100人に9人ぐらいは『人のために生きる』と考えています。
しかしよく考えれば『その人』のために生きても『その人』が何も考えずただ‘のほほん、と生きていたとしたら、その『人のために生きる』というのはただ、その‘のほほんを助長しているだけに過ぎず、結局は人助けにも何もなっていない。それはただ『人助け』という綺麗ごとに逃げているだけなのです。だからただ単に『家 族のために仕事をがんばる』というのは大間違いなのです。


では100人に1人の真剣に考えている人はどう考えているのか?
かの人たちは人を中心には考えず、『本当に大事なこと』を中心に物事を考えます。
『本当に大事なこと』のために人助けが必要なら人のために生き、『本当に大事なこと』のために自分や他人の幸せを犠牲にしなければならない時は迷いなくそうします。
そして単に人を助けるのではなく、人を考えさせます。
一時、人を助けてもその人が自分で道を切り開いていけなければ同道巡りになり、また誰かが助けなくてはならなくなります。

ですから何が大切かを順序とすれば、まず
一に、『最も大事なことは何か』を自分で考える。
二に、それを自分の子供や家族に教える。
三に、それを他人に教える。
四に、自分がその『最も大事なこと』を実行する。
五に、生きるための努力をする。

このように、生きるためだけにしている努力などは、順序でいうと下の下なのです。まず何が大事かを考えてこそ生きることの価値が生まれてくるのです。


そこでこのような問いが生まれてきます。

『他の生物もただ生きるために日々過ごしているだけなのだから同じことなのではないか?』


それではここで考えるヒントです。


人間以外のすべての生物は自らをわきまえて生きています。決して自分が生きていく上で必要以上のものを欲しないし、種の存続のために最大の努力をしても、それ以上、種が爆発的に増えることがありません。
それは何を隠そうこの地球 には限りのある資源しかないからです。ですから基本的には地球上の生物全体は一年間に太陽から注がれるエネルギー全体以上のものを使うことはできないので、必然的に共存に向けて種の個体数を調整し、やりたい放題はしないように本能でコントロールされているのです。
ゆえに、コントロールされずに際限なく欲望を求めていくのは人間のみで、人間は、本来生きていくために必要とするエネルギーの数十倍のエネルギーを使い果たしながら生きているのです。
他の生物や、元々地球に埋まっている鉱物、過去の生物の死骸が何十億年もかけて作り上げた石油や天然ガスなどを、わずか200年で欲望のままに使い果たそうとしているのです。

ゾウは体を支えるために莫大なエネルギーを使うのでこ の地球上では70万頭しか生息できません。それが通常は限界なのです。
しかし『あなた(人間)』は一人生きるために、あのゾウ一頭とほぼ同じエネルギーを年間に使い果たしながら生きているのです。平均でそれですから豊かな日本人はゾウを遥かに上回ります。化け物のようなあの大きなゾウと同じだけのエネルギーを使い果たしながら70億人がこの地球上で生きているのです。

『70億頭のゾウ』がこの地球を蝕んでいっているのですから、もちろん他の動植物は多大な被害を被るし、地球自体も無茶苦茶になり、最後には自分(実際には子供、孫)たちが悲惨な目に会います。

しかし、今さら産業革命以前に戻ろうと思っても、もはや科学技術、情報が行きすぎたこの人間世界は後戻りす ることは不可能なのです‥


それでは我々現代人はいったい何をすべきなのか?