考えるヒント11『平等』

今日は『平等』についてお話したいと思います。


現代は『平等』という精神が行き過ぎた状態にあります。
人々は『平和』『争いを避ける』『許す』『命は地球よりも重い』『オンリーワン』といった美しい言葉に過剰に反応し、いつの間にか人類にとって何よりも大切なことである『競い合う』ということを忘れてしまいました。
学力などもがた落ちになりましたし、例えば子供たちに徒競走で手をつないでゴールさせている光景などはまさに異様です。


それは豊かさが招いた惨状にほかなりません…


遥か昔に人類が誕生してからほんの50年ほど前まで、人々は何とか自分や家や部族を守るために必死でした。必死に子供を育て、少しでも生きていくすべを身につけさせ、強く賢く忍耐強い誰にも負けない子に育てました。そうしないと生きていくことすらできないのです。もちろん地球上の他の生物も同じように必死でした(今も必死です)。

そういう弱肉強食の中で揉まれてこそ人類は発展してきたのです。


そのように親や周りの大人が子供たちに必死にしつけ、教え、競い合わせ、時には自分の命を投げ売ってでも大切なことを教えました。

そうした必死さの中から何が生まれてきたか


人々が競い合う中で、芸術が生まれ、学問が生まれ、心(思想、宗教)が生まれました。

競い合うということは、奪うことも含まれますから、必然的に『悪』が生じてきますが、それ以上にその何倍もの『人間にとって大切なもの』が生まれてきます。つまりそのような『必要悪』というものがなければ、いくら『美しい言葉』を並べても何も生まれないのです。

今のなまぬるい現代の世界で育った人間は必然的に個々のレベルが下がり、そこから生まれる芸術や文化も底の知れたものになってしまいます。

生まれてから死ぬまで、死に物狂いで必死にやっていた、100年前、1000年前の人たちに比べれば、そんな『平等』社会で育った現代のやわな人間が太刀打ちできるわけがないのです。


『オンリーワン』というのは「どんな人でもそれぞれに素晴らしいから比べてはいけない」という意味ですが、これは「全然努力しなくてもそれでも素晴らしい」「頑張って素晴らしいことを成し遂げた人も、怠けて遊びほうけた人も、人に悪事ばかり働く人もみんな素晴らしい」という意味も含んでおり、現代はまさに「オンリーワン」という言葉にあぐらをかいて怠けて座っている人が後を絶たない時代であります。世間がそれをオンリーワンといって奨励してくれているのだから当然そうなりますね。


「戦争」「貧困」「災害」「病気」「暴力」「飢餓」といったものは誠に悲惨なものではありますが、そのどん底からはい上がり、競い合い、本当に素晴らしいものは何かを比べ合い考え合って、何とか生きていく中でこそ
『本当に素晴らしいもの』
が生まれてくるのではないでしょうか?


『平等、平和、簡単に許す、何よりも命が大事、オンリーワン、豊か過ぎる、比べない」

このような世の中で本当に素晴らしいものは生まれるのでしょうか?


もしかしたら…人類の進歩の中の、20%~80%の段階に当たる時代でしか、本当に素晴らしいものは生まれ得ない、原始すぎても近代化すぎても本当に素晴らしいものは生まれてこない、
そのはざま’の進歩の途上の激動の時代でしか生まれてこない、というのが素晴らしいものが生まれるための『法則』としてあるのかも知れませんね。



さて、我々現代人はその波に抗って、もう一花

『本当に素晴らしい花』

を咲かせることが出来るでしょうか…




考えるヒント 11 『平等』でした


to be continued…