考えるヒント3 『個と関係』

人は普通、周りのものを見たり考えたりするとき、基本的に『個』のみを見て判断しています。
あの人間のレベルは高い。あの歌はよい。この思想は難しい。あの選手はダメだ。この石は大きい。小鳥が綺麗に鳴いている。あの山の森は美しい。
しかし実際はこの宇宙のすべては『個』と『個』の関係、つまり何億、何兆、無限とある『個』がそれぞれ関係をなし、それぞれの価値、もしくは存在を創り出しているのです。決して『個』のみでは存在しえない、『関係』こそが『個』の形而上的側面、つまりこの宇宙の目に見えない部分を司っているのです。
まず、個の裏には必ず関係が存在していることを認識しない限り、この世界を正しく見ることはできません。

「あの石はなぜ大きいのか」
それは周りの石が小さいからです。周りのものとの関係によって、石は大きく硬いものであると認識されているに過ぎないのです。

「あの石はなぜ高価なのか」
それは人間がその石に対して希少価値を見出しているからです。猿にとってはその光輝く美しい石も、ただのクルミを砕く硬い道具にしかならないのです

上司が転勤した途端に能力を発揮し出す部下がいます。彼はまさに上司との関係が悪かったために能力が低いように見えていただけで、実は能力を発揮しやすい上司のもとでは、途端に出来る男に存在が変化するのです。

遥か彼方にひっそりと存在していただけのあの星は、人類に発見されるやいなや、白鳥座X1-5とかいう固有名刺が、宇宙の片隅の地球との関係で出来上がってしまうのです

あの美しい山の木々も、様々な関係が重なり合って何千年、何万年姿を変えながら存在しているのです。


『個』と『関係』を十分に理解した上でこの世界を見ていけば、例えば「環境問題」なども正しく理解できるし、この世界の現状も日本の現状も、そしてこの宇宙の存在自体のことも正しく解ってきます。自分はどんな人間なのか。今何をすべきなのか。どんな場所に自分を置けば自分の能力が正しく発揮できるのか。あの人のためにはどんな関係を築くべきなのか。このグループにおいて最も能力を発揮しやすいのはどんなタイプの人間か。日本という国は世界の中でどのような存在なのか。


このように、『個』だけを見るのではなく『関係』をしっかり見極めていくことによって、その人の能力、そのものの存在が、いかようにも変化していくことに気付くと思います。


この宇宙にある『個』はすべて宇宙の法則、つまり『関係』によって繋がっています。


『個』が100あれば、その関係は10000個、『個』が無限にあるのならば、『関係』は無限×無限個あるということです。

身の周りにある『関係』だけを意識して生きるだけでも、一生のうちに味わいきれないほどの、興味深い『関係』というものが周りに渦巻いているのが分かると思います。
そして人間の精神活動は、その『関係』をさらに増幅させ多様化させる力を持っています。




人間も含めて、この宇宙のすべては『関係』によって繋がっている。


考え方を変えれば、宇宙はすべてで、ひとつのもの’と言えるのかもしれませんね。




考えるヒント 3 『個と関係』でした


To be continued‥